取り調べを受けたなら

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●調書にサインする義務はありません

多くの方がご存じありませんが,警察や検察が作成する調書にサインする義務はありません。
それどころか,調書に『自分が言ってないことが書いてある』『ニュアンスが少し違う』『明らかに間違っている』などと思ったら,遠慮なく調書の訂正を求める権利があります。
調書の訂正に応じてくれないのであれば,絶対に調書にサインしてはなりません。
捜査機関に都合の良い内容になっている可能性が高いからこそ,訂正したくないと考えるのが合理的でしょう。
裁判で証拠となる大切な書類ですから,調書の内容をよく確認することがきわめて重要です。

●任意の捜査であれば,取り調べに応じる義務はありません

逮捕・勾留されている場合は別として,身柄拘束されていない任意の取り調べであれば,警察に出頭する義務や取り調べを受ける義務はありません。
また,取り調べの途中でも退席して帰宅する権利があります。弁護士を呼んでほしいと求める権利もあります。
ただし,何度も呼び出しをされて合理的な理由もなく取り調べを拒否していると,逃亡や証拠隠滅のおそれがあるという理由で逮捕される可能性があることも覚えておきましょう。
弁護士と相談しつつ,任意の取り調べできちんと自分の主張をしておくことも有用です。

 

●警察は処分を決めることはできません―検察官と裁判所が処分します

警察官は捜査した後,検察に事件を送致します(送検)。検察官は,警察から送られてきた捜査資料を読んだ上で,被疑者(いわゆる「容疑者」)の言い分を聞いた上で,起訴するかしないかを決定します。
ですから,警察から処分を軽くしてやるなどと言われたとしても,警察には処分を決める権限がないことを覚えておくべきです。
検察官が起訴・不起訴の処分を決定する前の捜査段階で弁護士と相談し,弁護人を選任することは,不起訴を勝ち取る上でも重要です(起訴前弁護)。

検察官が起訴することに決めたなら,最終的な処分を決めるのは裁判所となります。裁判所が有罪・無罪,有罪の場合の刑の重さを決めることになります。
刑事裁判において弁護人は被告人(起訴されると被疑者から被告人となります)とよく打ち合わせをして,方針を決定し,法廷内外で重要な弁護活動を行います(起訴後弁護)。
被告人の今後の人生にとって非常に重要な手続ですから,信頼できる弁護人を選任することが重要でしょう。